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つなぽんのブログ

生物学者♀のたまごつなぽんのポスドク日記。

高校生に「生命科学者になりたいです」っていわれたら、「やめとけ」って言うと思う

学び 研究者の悩み

前回のエントリー、たくさんの方に読んでいただいた様で驚いています。ほんとうに嬉しいです。ありがとうございます(*^^*)。

 

 

で、はてブコメントとかリツイートのコメントとかをさらっと読んでいて一つ、誤算に気づきました

 

 

このブログ、私の中で勝手に、理系、特に私と同じ生命科学の研究者を志す学生を読者として想定して書いていたんですよね。(ええ、プロフィールにもどこにも書いていないのですが。反省しています。)

 

でも、コメントを見ていたら、研究に携わらない分野の方々にもお読みいただいていることがわかりました。

それは本当に嬉しいです。あのエントリーが様々な分野の方の目に留まって、議論されたというのはブロガー冥利につきます。

 

これからも

「へー、生命科学者って、大学院ってこんなかんじなんだぁ。」

って、興味をもって見続けていただけたら(いや寧ろ研究業界を監視していただけたら)、研究者と社会がより良い関係を築けると思っています。

 

なので、ぜひ、分野外の方もどしどし見に来てくださいね☆

 

 

 

しかし、一つ、ちょっとまずいなと思ったことがあったのです。

それは、「研究者ってかっこいいー!」というあこがれを無駄に抱かせてしまったのでは無いかと思ったからです。

 

一応、「生き残れるかわからないよ」ってフォローを入れたつもりだったのですが、

私が「みんな研究者になろうよ、かっこいいよー」っていう感じで記事を書いたように受け取られると、ちょっとそれは本意ではないなと。

 

それで贖罪のつもりでこの記事を書くことに決めました。(生命科学研究者を目指す人にとっては、特に新しい情報はないと思います)。

 

  

私は研究者という職を人に勧めることは無いと思う

女性で研究者をやっていると、たまに「女子高生向けのサイエンス・カフェ」のようなものに呼ばれることがあります。

つまり、女子高生にサイエンスの面白さを伝えようという、大学側の一種のリクルーティングですね。

(この手の講演会は男子より女子向けのものが多い気がするのですが、何故なんでしょうか…(^ω^; 周りを見ていると女性でも就職が難航している人が結構いるので、喉から手がでるほど理系女子が欲しいようにも見えないのですが。)

 

私は研究周知活動(アウトリーチといいます)自体は好きなのですが、

相手が高校生で、リクルーティングの側面があるとなると二の足を踏んでしまいます。

 

何故かと言うと、女子とか男子とか関係なく、「研究者って人に勧められてなるもんじゃないでしょ」って、

私が思っているからです。

 

だって凄くリスキーだよ?お給料少ないよ?病んでった友達いっぱい居るよ?私の学年で規定年数で学位取れたの2/3位だよ?大学にストレートで合格したとしても学位取れる頃には27歳だよ?資格取れないよ?人の役にもあんまり立たないよ?

 

何でそんな職業、うら若き将来有望な高校生に勧めなきゃいけないんですか?

可哀想じゃないですか!

 

 

研究職はハイリスク 〜任期付きポスドクが辛い〜

これは、研究職を志した人なら大体了解している話なのですが、

とにかく研究者という職は不安定です。

 

大学を出て普通の企業に就職したら、大体定年まで雇い続けてもらえますよね?途中でクビになる可能性はありますが、少なくとも任期付きではないはずです。

 

が、学位をとった学生の次の行き先は、大体任期付きのポスドク(post doctoral fellowの略です、博士研究員とも言います)になります。任期は様々ですね。3年とか5年とか。

私は現在1年ごとの更新で雇ってもらっています。

任期が切れた後、助教やテニュアトラックなどの比較的安定した、任期の無い職につける人もいますが、ポスドク任期中に思うように業績を挙げられなかった人は、場所を変えて次のポスドク先を探し、再び任期付きの職にありつくことになります。

 

順調に学位とって27歳です。早くに就職して結婚した学部時代の同期など、子供を産んだりしています。

女性なら、まぁ子供欲しいなと考え始める頃ですが、任期付きとなると

 

「3年間で成果をださないといけないのに、いつ妊娠したら良いの?」

「育休とって、次の雇用先あるのかな?」

「一度職歴に穴が空くと、もう雇ってもらえなくなるかもしれない」

 

と、かなり不安になります(今の私ですね、はい)。

ちなみに、別の機会に紹介するつもりですが、子育て研究者の復帰支援のためのRPD(リスタートPD)という制度が存在します。内定率は26%程度です 採用状況 | 特別研究員|日本学術振興会 。

 

男性は男性で、「家族を養わなければ」と思う人が多いようなのですが、4年後に自分が働けるかわからないというのは精神的にかなり負担になるようです。そりゃそうだ。

 

実はそんなに給料が良くない

ポスドクの給料はそんなに良くないです。いや、いい人も居るのですが、あんまり良くない人もいます。(私の給料は、いくらとは言いませんが結構少ないです)。

 

目安としては、学振特別研究員-PD(狭き門です。採用率11%。)に内定した場合のポスドクの給与は、今は月36万です。多分。(違ってたらすみません。)

 

27歳で年収450万弱。悪く無いと思われる方も居るかもしれませんが、

修士から博士課程まで給料0で学費払っていますからね?

学振DC1 に採用されて3年で合計720万円もらえたとしても、学費と生活費考えたらトントンか赤字です。

多分普通に就職したほうが、給料としてはいいのではないかなー。

 

ちなみに、36万ももらえていない人もたくさんいます(私の給与はこれには到底及びません)。20万/月くらいのポスドクもいます。やっぱりかなりリスキーかなと思います。

 

(幸い、私の周りには無給ポスドクは存在しません。都市伝説だと思っているのですが、本当に居るのでしょうか???)

 

そもそも学位が取れるかどうかわからない

博士課程に進んだとして、学位が取れるかどうかはわかりません。

私の学年は、ちょっと正確に覚えていないのですが、確か15人くらい博士課程に進んで、学位を規定年数でとったのは8、9人くらいだったのでは無いかと思います。みんなまじめに研究していたのですけどね。

私は1年余計に博士課程に在籍して学位を取得しましたが、結局残りの5人は(お察しください)。みんなちゃんと大学以外の場所で働いてますけどね!

 

わかりやすく人の役に立たない

たまに友人の結婚式に出席するじゃないですか。

そこで、「新婦は、教師としてご活躍され、生徒にも慕われ 云々」とか、

「新郎は、〇〇保険で、事故の際にはお客様の立場に立って迅速に解決を云々」とか、

「本日のブーケは新婦ご友人のフラワーアレンジメントがご専門のの〇〇さんが 云々」とか

そういうのを聞くとね、やはりたまに考えます。

私は人の役に立ってないな、うん、全然人の役に立ってないな

って。

分かってて選んだ道ではあるけど、

やっぱり誰かの役に立つ仕事って、誰かに感謝される仕事って、素敵だと思うし、

そちらを選べるなら、そのほうが幸せだったんじゃないかと思うのですよ。

 

今、高校時代に戻れるなら研究者になるか?

こう聞かれると答えに窮してしまいます。ならないかもしれません。

普通に大学出て就職して、結婚して、子供産んでちゃんと整備された環境で育休をとって、旦那さんも研究者じゃなくてサラリーマンで、

毎月安定してお給料もらえる生活の方がよかったかなー、と思うこともあります。

 

今からでも転職しても良いのですが、それもできるのですが。

でも、私、中途半端が嫌なので。今やっている研究をほっぽり出して転職しようとは絶対思わないので、転職はしないかな。それにまだ知りたいことがたくさんあるし。

 

ここまで書いて、高校時代、あるいは大学時代に就職を選んでいたら、

「研究者になればよかったなー」

とやっぱりくよくよ悩んでいたのでは無いかと思いました。

結局、研究者になる運命だったんだな、うん。諦めよう。

 

研究者は特殊な職業

研究者って、芸術家とか、俳優とか、漫画家とかのように、結構リスキーな職だと思うのですよ。食っていけるかわからない。

お子さんが「私、漫画家になる」って言い出したら、とりあえず一度は反対しませんか?それでもし、その覚悟が本物だと分かったら応援してあげるけれども、なんとなくの憧れだけで漫画家になってしまったら、きっと苦労するから、とりあえず反対する親御さんが多いと思います。

研究者もそんな感じの職業じゃないかなー、と思っています。

誰にでもおすすめできる職業では無いですよ、憧れだけで来てはいけません、とお伝えしたくて、今日はこのエントリー書きました。

 

最後に、博士課程の恐ろしさがわかる一冊をご紹介しておきます。

私の周りは、この本の中身ほどはひどくない印象ですが。

博士課程進学は、よく考えてから行ってくださいね。

 

博士漂流時代  「余った博士」はどうなるか? (DISCOVERサイエンス)

博士漂流時代 「余った博士」はどうなるか? (DISCOVERサイエンス)

 

 

 

おわり