つなぽんのブログ

生物学者♀のたまごつなぽんのポスドク日記。

生理によって心拍数が変化する?fitbitで計測してみた!

大変ご無沙汰しております。つなぽんです。

さて、今回は、心拍数と生理の関係をFitbitで計測してみたよ、という話です。

女性の生理サイクルって不思議ですよね。月の半分は体温が高くて、月の半分は体温が低い。体温だけじゃなくて、生理前は便秘になったり、生理が来たら突然お腹が緩くなったり、気分が落ち込んだり晴れやかになったり。。。

かく言う私も結構気分の振れ幅が大きくて、「あー、自分はホルモンの奴隷だーもっとコンスタントに毎日を送りたいよー」と思いながら生活していたりします。

自分の生理サイクルを知るために、基礎体温をつけている人もいますよね。私も一時期つけていたんですが、、、毎朝体温計で体温つけるのって面倒くさいし、寝ぼけているとつい計測前に起き上がってトイレ行っちゃったりして、データの正確性もイマイチなんですよね。

そこで、「何か簡単に生理サイクルをぱぱっと検出できるものないかなぁ?」と思っていたところに現れたのが、このウェアラブルバイスなわけです。

 

皆さんは fitbitをご存知でしょうか?腕時計と万歩計と心拍計が一体化したような、とっても便利なスマートウォッチです。出産後急激に増加してしまった体重をなんとかしたい。。。そう思った私が、サイバーマンデーにゲットしたのが私の初代 fitbit、inspireHRでした。

そして去年、二代目であるfitbit versa2を購入し、今も快適に使っております。

 

 

このfitbitを使い始めて間もなく、私はあることに気がつきます。

「生理中、安静心拍数が高いんじゃね?」

その後、私は妊娠と流産を3回繰り返すのですが、「妊娠すると心拍数高くなるわ!」と言うことに気がついたわけです。

流産3回という非常な不運に見舞われながら、私は思ったのです。「くそう、このつなぽん、ただでは終わらないぞ。この安静時心拍数とやらで、なんか面白いこと発見してやろうじゃないの。」

(しかし後から気がついたのですが、実は生理周期によって心拍が異なると言うのは、既知の事実(Brar et al., J Clin Diagn Res. 2015; )で、排卵後から生理までは心拍が高く、生理開始から排卵までは心拍が低いと一般に言われています。)

 

と言うわけで、fitbitに蓄積された、私の過去二年間の生理周期と安静時心拍数のデータを付き合わせてみました。そんな面白いものではないかもしれませんが、よろしければご覧になっていってください。

なお、このデータはつなぽんひとりから取ったデータであり、全ての女性に一般化できるかどうかはわからないことに留意してお読みいただきたいと思います。

 

実験方法

 

被験者は2022年6 月現在34歳の女性。被験者は、本研究の趣旨を理解し、データの取得方法、公開方法に同意している(というか本人。。。)

体重と身長は秘密だが、日本人の95パーセンタイルには収まっている。

BMI26くらい。

計測方法はFitbit。2021年10月まではFitbit HR, それ以降はfit bit versa 2を用いて計測。アプリが算出した安静時心拍数をそのまま用いた。が、被験者のズボラな性格により、たびたびfitbitをつけ忘れて就寝するため、データがとびとびである。

生理周期は、2020年2月から2022年5月までのものを用いた。この間、被験者は生理を18回、妊娠、流産を3回ずつ経験した。生理周期は、平均32.2日(SEM 1.14). 最短26日、最長44日だった。

生理開始日は、fitbitに手動で記録したデータをもとにしている。被験者が出血を認めた日を生理1日目としてカウントしている。排卵日は、生理開始日の14日前とした。妊娠した月に関しては、いずれもClear blue Advanced Degital Ovulation testにより排卵日を予測しており、サージが確認された日の翌日を排卵日、サージを確認した日から15日目を生理1日目として換算した。

 

結果

先行研究の通り、生理前後、排卵前後で安静時心拍数は変動する。

でも、生理周期ごとに、安静時心拍数の値は異なり、そのパターンにもばらつきが大きい。安静時心拍数の変化から生理開始日を予測するのは難しそうだということがわかる。

一方で、妊娠した場合、安静時心拍数は上昇を続ける。生理予定日を過ぎて3日くらいで大体わかりそう。日本では生理予定日当日から判定できる妊娠検査薬へのアクセスが非常に悪い(薬剤師に出してもらう必要がある)ので、早めに妊娠したかどうかを安く手軽に予想するのに、安静時心拍数を見ることを考慮に入れてもいいかもしれない。

図1 生理開始日を0日とした時の、前後15日間の安静時心拍数の推移。通常の生理周期の安静時心拍数は薄い実線で、妊娠した時の安静時心拍数は薄い破線で示してある。また、黒太線は通常時の平均、赤太線は妊娠時の平均値である。エラーバーはSEM

 

 

さて、次に気になるのは、排卵日を安静時心拍数から予想できるかどうか。妊活を行っているものにとって、性行為をタイミングよく行うことは非常に大切である。現在、LHサージを検出して排卵日を予測する試薬は薬局で手に入るが、これまた薬剤師さんのお呼び出しが必要な品である上、値段もそこそこである。さらに、妊娠検査薬と比べると、判定が難しいのだ。妊娠検査薬は線が出れば陽性、出なければ陰性とはっきりしているが、排卵検査薬はコントロールの線との濃さの比較でピークを捉えなければならない。継続して何日か検査をし続けて、ピークの日を確実に仕留める必要があるのだ。(実際にはピークが出てからでは少し遅いので、LH検出のラインが濃くなってきたなと思ったら早めに儀式を執り行う必要がある。)

 

もっと簡単に排卵日がわかるといいのになぁ。安静時心拍数で。

ということで、結果をみてみよう。排卵日を0日とした時の前後15日間の安静時心拍数の推移である。

図2 排卵予想びを0日とした時の安静時心拍数の変化。通常時の安静時心拍数は薄い実線で、後に妊娠が発覚した回の安静時心拍数は薄い破線で示す。黒太線は通常生理時の平均、赤太線は妊娠した回の平均。


ううーん。。。平均すると、排卵日の二日前くらいから、徐々に安静時心拍数が上がり始める傾向にある。傾向にはあるが。。。これまた、回によるばらつきが大きい上、1bpm程度の小さな変化なのである。これでは安静時心拍数の変化から排卵日を予測するのはかなーり厳しいと言わざるをえない。。。残念。排卵日予測は大人しくLHサージ検出薬を購入しましょう。

 

終わりに

今回、安静時心拍数を眺めてみて、改めて女性の体って不思議だよなーと思いました。体温も変わるし心拍数もこんなに変わってるんか!って。ちなみにつなぽんは便秘と軟便を毎月繰り返しています。これも地味に辛い。。。

薬でうまく調節できたらいいんですけどね、つなぽんはかれこれ2年くらいずっと妊活と流産を繰り返しているのでなかなか薬にも頼れず、、、とほほな日々を送っております。

オンナッテツライネ。

早く赤ちゃんきておくれー、と願掛けして今日はおしまい。