つなぽんのブログ

生物学者♀のたまごつなぽんのポスドク日記。

主にアカハラの話 (河野議員へのレスポンス②)

河野先生が再びブログをアップしてくださいましたので、私が答えられるものをここで答えたいと思います。

www.taro.org

 

私の観測範囲のことですので、一般化できるかは不明ですが。

 

アカデミックハラスメントについて

アカデミックハラスメントについて。これは単なるアカハラの問題と学生が労働基準法の適用を受けないという問題と、研究費がないから学生等をこき使うという問題がからまっているという認識でよいでしょうか。博士課程の学生が減ったから教員を雇っているという現実がありますか。

 

アカハラについては、仰る通り、様々な問題が絡まった複合的な問題であると認識しています。この問題について、幾つかの具体例を知っていますが、いずれも当事者では無いため、具体的に話すのはかなり難しいです。(私の周辺でかなり深刻になったものは、教員が学位取得の妨害、あるいは論文執筆の指導放棄を行った事例です。)

 

また、各大学のハラスメントセンターは、非常にデリケートな問題ですのでこれに関しては情報はほとんど学生、教職員に公開していません。

よって、研究者に意見を仰いでも効率的に意見を収集するのは難しいかもしれません。

各大学のハラスメント相談室から意見を募集するのが効率的と思います。

後述しますが、もし、調べることが可能ならば、申し立てされたハラスメント事案だけでなく、相談された全てのハラスメント報告について、調査をお願いしたいです。

 

国立大学には、ハラスメント相談室が設置されており、それぞれガイドラインが明示してあります。ウェブサイトに行けば気軽に見ることができます。

京都大学におけるハラスメントの防止と対応について(PDF) 

東京大学におけるハラスメント防止のための倫理と体制の綱領(PDF)

 

また、勇気を出して、ブログに自身が経験した研究室の辛さを著してくださった方も居ます。

大学院、中退することに。 : ボルボラのブログ

 

現行のハラスメント対策に感じる懸念

以下はちょっと細かいことですが、私が現在のハラスメント対策に対してもどかしく思っている点です。私はハラスメントを受けた当事者では無いので、これは伝聞をもとに私が感じた懸念です。
ハラスメント相談室は、被害者から相談を受けた場合、次のようなプロセスを経て調査を行います。

f:id:tsunapon:20161112014941p:plain

私は、このプロセスを経て本調査までたどり着いたハラスメント案件は全体の何%なのか、非常に少ないのでは無いかと疑っているのです。

 

私の友人は、加害者からの執拗なメールなどの物的証拠があったにも関わらず、結局、本調査(ハラスメント申し立て)をしませんでした。それは、申し立てをした時点で、加害側にハラスメントの申し立てがあったことが通知されてしまうからです。

 

指導放棄をされていた友人の場合、その研究を教えられる教員が加害者しか居なかったし、ハラスメントセンターが入ったところで教員が積極的に友人に指導を行うようになるかも不透明だったため、また、精神的にもかなり追い込まれていたため、退学しました。

 

両当事者から話を聞かないと客観的に調査ができない、という理屈は理解できるので、本調査と同時に加害側に通知が行くことはまぁ理解ができるのですが、

加害側はまだのうのうと教鞭を撮っているわけで、

まったくアカハラが無くなりそうな気配を見せないので、何とかならないかな、ともどかしく感じています。とは言え、対案は全く思い浮かばないのですが。

私は、正直に言ってハラスメントセンターに対する信頼感はなくなってきてしまいました。

 

現在、取りうる解決策

無難なところとしては、副担当教員制の導入を徹底すること、があげられると思います。担当教員以外に、もう一人、その学生に責任を持つ教員を作っておくことです。既に導入済みの大学があるので、効果が出ているかどうか確認できるかもしれません。

 

また、学科ごとの退学率、休学率を公開する、というのもありかもしれません。離職率の高い職場は止めておこう、と思うように、退学率の高い学科を学生が避けることができるかもしれません。(一部から猛反発が来そうですが)

 

非常に属人性が高いゆえに、アカハラの問題は根が深いです。どうにかして、苦しんでいる学生さんの力になりたいと思うのですが。 

 

 

若手研究者の定義について

「若手」の定義が四十歳だったり、三十七歳だったりするようですが、若手の定義として確立されたものがありますか。

学振PD、海外学振は、学位取得後5年以内のものが申請資格を持ちます。また、科研費の若手枠は、39歳以下のものが申請資格を持ちます。このあたりが、若手の基準になっているのでは無いかと思います。

申請資格・支給経費・採用期間 | 海外特別研究員|日本学術振興会

特別推進研究・基盤研究・挑戦的研究・若手研究 | 科学研究費助成事業|日本学術振興会

 

 

購読料が必要な論文に付いて

予算の関係で海外の学術雑誌が読めない大学というのはどれぐらいありますか。

 

これについてですが、「論文が読める大学」と「論文が読めない大学」が二分しているわけではありません。大学によって、読める論文の雑誌の数が違うのです。

(中には全く有料誌が読めない大学もあるらしいですが。)

購読の頻度が高い雑誌を大学が一括契約してくれているところが多いはずです。一括契約された論文については、大学のポータルサイトや学内の無線ランを介して論文サイトにアクセスすれば、研究室単位では購読料を払わずに済みます。

 

f:id:tsunapon:20161112025620j:plain

画像は、フリー素材のいらすとやさんから拝借しました。

 

この、どの雑誌を一括契約するかについては、各大学の図書館が決めているはずです。(数年前に一度アンケートを取られた気がします)

大学図書館に協力してもらうのが一番かと思います。

 

 

以上です。