確かめてみたら自分の二重国籍が発覚した話
蓮舫議員の二重国籍問題が結構長くお茶の間を賑わせています。
私は政治的主張はブログでは展開しないことに決めているので、
本エントリーも蓮舫議員の政治家としての資質なり何なりに文字を割く気はさらさらありません。
ただ、私は今回の蓮舫議員の二重国籍問題が議論される中で、
改めて自分の国籍を確認した所、自分がまだ米国籍を持っていることが明らかになったこと、
更に調べている内に、「日本国籍を選んだはずなのに日米二重国籍になってた」私と似たような境遇の人が少なからず居ることを発見しました。
そこで、
意外と気付かずに二重国籍になっちゃってる人って多いんじゃないの?
日本の対応、ちょっとまずいんじゃない?と思ったので記事を書くことにしました。
私の生い立ち
私は、米国のペンシルバニア州というところで生まれました。
両親とも日本人、少なくとも江戸時代の終わりまでは、両親ともに祖先を遡っても日本人の生粋の日本人ですが、父が仕事でペンシルバニアに行っている間に生まれました。
日本は、どちらかの親が日本人であることが日本国籍を持つことの条件である血統主義なのに対し、
米国は米国内で生まれたことが国籍の条件になる出生地主義をとっています。
そんなわけで、米国で生まれた私は日本国籍と米国籍、両方を有することになったのです。
ちなみに、父は仕事で忙しく、言葉が通じず友人も居ない異国の地で参ってしまった母は、生後6ヶ月の私とともに日本に帰ってきました。
そんなわけで、生後6ヶ月から約30年間、私は日本で過ごしてきました。
二重国籍に気づくきっかけ
さて、私は国籍のことなどすっかり忘れて日本で日本人としてのうのうとすごしていたわけです。
20歳になると同時に選挙権が与えられました。年金の支払い義務も生じました。
20を過ぎてから大学に雇用されるまでは国民年金だったわけですが、
一度の支払い忘れもなく年金を払い続け、選挙にも毎回行っています。
自分で言うのもなんですが模範的な日本人です。
ところが、このニュースで私は疑問に思いました。
「国籍の放棄手続き」…?あれ?国籍って放棄するのに手続きって居るんだっけ?
私…国籍の放棄手続きなんてした覚えないぞ…???と。
で、ツイッターでその旨呟いた所、親切なフォロワーさんが「それ、まだ米国籍が生きてますよ」と教えてくれたのです。自分の二重国籍が発覚した瞬間でした。
二重国籍なんてありえるの?
しかし、ネットを見ていると、「日本では二重国籍は違法」「日本は一つの国籍しか認めていない」という話が。
私も、18だかそのへんで、日本国籍を選択することを父に伝えた記憶がおぼろげながらあります。自分で手続をした覚えは全くありませんが。
調べてみると、国籍の選択の管轄は法務省のようで、次のようなウェブサイトがありました。確かに、日本では重国籍者は一つしか国籍を選べないようです。
国籍を選択するには,自己の意志に基づき,次のいずれかの方法により選択してください。
(1) 日本の国籍を選択する場合
ア 外国の国籍を離脱する方法
当該外国の法令により,その国の国籍を離脱した場合は,その離脱を証明する書面を添付して市区町村役場または大使館・領事館に 外国国籍喪失届をしてください。離脱の手続については,当該外国の政府またはその国の大使館・領事館に相談してください。
イ 日本の国籍の選択の宣言をする方法
市区町村役場または大使館・領事館に「日本の国籍を選択し,外国の国籍を放棄する」旨の国籍選択届をしてください。
つまり、私はこの(イ)日本の国籍の選択宣言 は行っていたものの、外国籍の離脱は行っていなかったことになるようです。こう書かれると両方やらないといけないのかと思われますが、以下の米国日本大使館のウェブサイトには、(ア)か(イ)のいずれかの方法で日本国籍が選択できるように書いてあります。
Embassy of Japan in the United States of America
ちなみに、蓮舫議員は、昭和60年1月1日より前に重国籍となったはずです。この場合、
(2)昭和60年1月1日前(改正国籍法の施行前)から重国籍となっている日本国民
(中略)
なお,期限までに国籍の選択をしないときは,その期限が到来した時に日本の国籍の選択の宣言をしたものとみなされます。
自動的に22歳を超えた時点で 自動的に日本国籍を選択したものとみなされるはずです。
さて、では、なぜ私は日本国籍を選択しながら二重国籍状態になってしまったのでしょうか?
その原因は、多分ですけど、アメリカが二重国籍を認めていることにより起こったのでは無いかと思います。
アメリカは二重国籍を認めている
米国大使館のリンクを貼っておきます。
はっきりとこう書いてあります
米国の最高裁判所は、二重国籍を“法律上認められている資格”であり、“二カ国での国民の権利を得、責任を負うことになる”と述べています。一国の市民権を主張することで他方の国の権利を放棄したことにはなりません。(Kawakita.v.U.S., 343 US 717 [1952]参照)
つまり、私が日本国籍を選んだからって、米国籍を放棄したことにはならないよー、と書いてありますね。
えーと。つまり。その。。。わけわかんねぇ。
わけわかんねぇけど頑張って解釈すると、
多分、私は日本の法律では日本の国籍しかもっていない日本国籍保持者だけれど、
米国の法律上は、日本の国籍と米国の国籍を両方有する二重国籍者ってことなんじゃないでしょうか???よく分かんないけど。
多分知らずに日米二重国籍者は結構いる
ここからは蓮舫さんの話からは離れて日米二重国籍者の話しかしませんのでそのつもりでお願いします。(台湾の国籍法とか全く調べてません)
あれ、二重国籍って大丈夫なんかな…とおもっていろいろ調べたんですが、
調べてたら仲間を発見したんですよ、私。日米二重国籍仲間を!!!
プロのライターさんに対して仲間というのもおこがましいですがすごく私と経緯が似ています。
また、こんな記事も
MIT留学でダニエル一家は何を思ふ なんちゃってアメリカ人ダニエルの妻子は移民ビザを取得できるのか
この方は、アメリカ留学のためにビザを取得しようとした段階で米国籍が残っていることが発覚した様子です…!
私も研究のための渡米を考えているので同じ事態になるところでした…。危ない…。
さて、ここに来るまでにN=3です。私含めて。米国籍の放棄手続きの存在を知らずになんちゃって二重国籍になっちゃっていた人は。
私、非常に疑問です。ちゃんと日本の政府は米国籍の放棄手続きの案内をしているのか?
もう一度載せときますが、米国日本大使館のウェブサイトをみる限りでは、日本国籍の宣言のみ行えば良いように受け取れます。実は知らずに二重国籍になっている人、多いんじゃないのかなぁ。。。
Embassy of Japan in the United States of America
日米二重国籍の何が問題か
別に、ふつうの日本人は国政に参加するわけでもないですし、米国市民権を維持したまま生活してもとくにまずいことはなさそうに思われます。
…が。
知らず知らずのうちに、旅券法違反や脱税状態になってしまう可能性があるような気がしてきました。
まず、渡航の際に、自国内に入る場合には自国のパスポートを用いることが旅券法で定められています。つまり、蓮舫議員なら台湾に行く際には台湾の、私の場合には渡米する際には米国の旅券を使わなければいけないということです。
これ、国籍放棄していないって知らなかったら普通に日本国旅券使っちゃいますよね。一応バレたら違法らしいです。
更に、米国市民はたとえ国外にいても確定申告書の提出義務があるそうです。
私、いままで一度も出したこと無いよ。。。働き始めたの最近だけど。。。。
さらにさらに、これはまだちゃんと調べられていないんですが、外国の金融機関に10000ドル以上の資産がある場合には申告義務があり、申告し忘れるとペナルティがあるという噂も…。10000ドルって100万円ですよ!?
日本に住んでて仕事してて、貯金100万円って普通に超えるだろ!!私は超えちゃってます。どうしよう、罰金とられるのかなぁ。。。(とりあえず弁護士さんに相談しようと思います。)
なお、以下の記事にある通り、米国市民権の放棄には20万円以上のコストがかかります。しかも、2回の面接を大使館で行う必要があるという。。。
とりあえず、米国籍の放棄についてはデイリーポータルさんの記事を待ちたいと思います。
二重国籍者への対応について
私は国籍選択宣言をして、もう10年以上が経過するのですが、
これまでに一度も、法務省なり外務省から「米国籍を放棄してください」という連絡を受けたことがありません。
それどころか、完全に米国籍は捨てたと思って生きてきました。
だって、日本国籍は1つの国籍しか認めていない、しかも日本国籍を選んだ、となったら、自分の国籍は日本一つだけだと、普通は思いませんか?(言い訳)
蓮舫議員には、ここまで大事になったのだから、元二重国籍議員として、
日本の国籍選択および国籍放棄方法の周知や、二重国籍者の円滑な他国籍放棄への取り組みなど行ってほしいな〜、と思うわけです。
できれば2350ドルと罰金を払わずに米国籍を捨てたいつなぽんでした。
おわり
一応魚拓とっといたやつ。消えないとは思うけど。