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つなぽんのブログ

生物学者♀のたまごつなぽんのポスドク日記。

学位を取りたい人が研究室を途中で変えることによる時間的、経済的不利益の話  (生物・実験系・学位取得を目指す人向け)

研究室

まずはじめに、「つなぽんのブログ」を訪問してくださった方にお礼をば。

二日前の記事 (↓)に興味を持っていただいたようで、

たくさんの方が訪問してくださいました。ありがとうございます。

大学院教育の闇について、思うところはいろいろありますので、

その辺もそのうち書きたいと思います。 

今後もこのブログをちょくちょく訪問していただければ励みになります。

tsunapon.hatenablog.com

 

さて、昨日、研究者を目指す人向けの研究室選びのコツについて書こうと思っていたのですが、その前に、「簡単に研究室変えられないぞ」ということを説明しようとしたら思ったより長くなってしまったので記事を分けました。

「研究室選びのコツ」待っててくれた人がいたらすみませんが明日こそ書きますのでしばしお待ちを。

タイトルを「アカポスを目指す人向け」とか「研究者を目指す人向け」とか書こうと思ったのですが、現在自分は学位取り立てでそんな偉そうに「研究者」とかいう資格が無いと思い直して「学位取得を目指す人向け」にしました。これなら嘘偽り無い(汗)。

 

 

学位を取りたい人にとって研究室選びはなぜ大事か、どれくらい大事か

研究室選びは、研究者候補生たちにとって今後の研究人生を運命づける非常に重要な人生の岐路です。この時に選んだ研究が後々の自分の研究人生の基礎になります。

この研究室選びを失敗してしまうと、研究者として重要な若くて体力のある期間を無駄にしてしまったり、最悪学位取得を諦めねばならなくなることもあります。

だから研究室を選ぶその時に、本当によくよく悩んで研究室を選んで欲しいのです。

 

修士から5年間(+α)はほぼ研究室での時間があなたの人生になる

大学院修士課程を受験して研究室を変えた場合を想定すると、理系学部の多くは修士課程2年+博士課程3年の規定年数5年で学位取得ができるシステムになっています。

学部によっては、あるいは(私のように)学位取得に時間がかかった場合は、5年以上その研究室に在籍することになります。

「研究室が人生とかそんな大げさな。研究してない時間だってあるでしょ」

と思うかもしれません。しかし、学位を取得するには研究を論文にまとめ、査読付き雑誌に載せてもらわねばなりません(一部そうでない学部もあります)。

論文を書けるだけの意味のある研究をするのにはそれなりの時間が必要です。分野にもよりますが、「起きている時間はほとんどラボにいます」状態の研究室も多いです。まさに研究室=人生なのです。

自分が入ろうとしている研究室の環境やメンバーは、自分が5年間、身をおいて研究するに値するかどうかを見極める必要があります。

 

途中で研究室を変えることは経済的、時間的損失を伴う

「研究室が合わなかったら移ればいいじゃないの」と思うかもしれません。

でもこれはかなり時間的なロスを伴います。論文を通すにはそれなりの時間が必要ですが、例えば修士から博士になる時に研究室を変えた場合、

普通の人が5年かかって論文を通すところを3年で仕上げなくてはなりません。

論文を投稿してもすぐに論文が受理されるわけでは無く、内容を精査したり追加実験を要求されたりと時間がかかりますし、論文を書くにも時間がかかりますので、研究に費やせる時間は実質2年強と見積もるべきでしょう(分野によりますが)。新しい研究室に移って2年で分野の背景を理解し、実験に慣れて意味のある結果を出すのは相当厳しいです。

オーバードクターになるか、中途半端な結果でショボい雑誌に投稿することになります。ちなみに私は修士から初めて結局6年かけて論文掲載に至りました (辛かったなぁ)。

 

 

もう一つは経済的な面での不利益です。

博士課程に進学する学生に対して研究活動を奨励する目的、また学生の経済的負担を軽減するために日本学術振興会(JSPS)から奨励金が支給される制度があります。

日本学術振興会特別研究員(外国人特別研究員を含む。)が行う研究に交付される特別研究員奨励費は、優れた若手研究者にその研究生活の初期において、自由な発想のもとに主体的に研究課題等を選び、研究に専念する機会を与え、我が国の学術研究の将来を担う創造性に富んだ研究者を育成するため、研究費を補助するものです。

特別研究員奨励費 | 科学研究費助成事業|日本学術振興会

学振特別研究員には修士課程2年生の時から博士課程2年生まで年に一回応募でき、審査に通れば月20万の(実質)生活費が2~3年受け取れます。しかし、審査は結構狭き門で、ある程度研究実績がないと通りません。

で、これはデータに基づいた議論ではなくて恐縮ですが、博士課程で研究室変えた人はかなり不利だと思います。

学振の応募書類には「現在までの研究状況」を書く欄があるのですが、新規に研究を始める場合にはここに書くことがほぼなくなってしまうからです。さらに、研究実績として学会発表も評価の対象になりますが、テーマを変えるとここも発表の機会が減ってしまい、評価が下がってしまいます。

修士から同じ研究室に居る学生が絶対に学振特別研究員に採用されるわけではもちろんありませんが、途中で研究室を変えるのは申請書類の作製においてかなりの不利益を被ることは間違いありません。

 

結論

もちろん合わなかったら研究室は変えるべきなんだけど、

途中で研究室を変えるのは損だから、

変えなくても良いようにしっかり研究室を吟味するべき、というのが今回の記事の内容です。

(というかしてください。

研究が好きなのに学位を諦めなきゃならない学生はもう見たくないんです。

 

予告

明日こそは、ちゃんと(私が考える)研究室選びのコツをお伝えします。

内容としては以下になります。

  • 自分のやりたいことができるラボかどうか
  • 大学、研究機関の規模や質
  • 学位取得要件 〜生物系で学位要件が査読論文2報のところはやめとけ〜
  • ボスの年齢、定年までの年数
  • 研究室の規模 〜ビッグラボと小規模ラボのメリット・デメリット〜
  • スタッフ(特に助教)の人数と研究能力
  • 他研究室との交流があるか
  • 博士課程まで行った学生が学位を取得できているか、進路は?
  • 学生と話した時の感触